小学校から「将来の夢」についてお手紙をいただきました。

こんにちは、ALBERT広報の鈴木です。

先日、小学校の生徒さんから当社宛にお手紙をいただきました。学校の「総合的な学習の時間」に将来の夢について学んでおり、「データサイエンティスト」という仕事の楽しいところや大変なところ、またどんな人がデータサイエンティストに向いているのかを知りたい、というものでした。

お手紙には当社のデータサイエンティスト(リサーチャー)から返事を書かせていただきましたが、今回このような貴重な機会をいただくことができ、データを扱う仕事に興味のある方、ALBERTに興味があるという方にもぜひ読んでもらいたいと思い、ご紹介させていただきます。

◆いただいたお手紙
授業で将来の夢について学ぶ時間があり、小学校6年生の方がデータサイエンティストについて知りたいと今回ALBERTに連絡をくれました。



◆質問へのお返事
こちらのお手紙をいただき、当社データサイエンティストでリサーチャーの山内から、「データサイエンティストの楽しいところ」「大変なところ」「どんな人がデータサイエンティストに向いていると思うか」について、以下のように回答しました。


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○○○○さん、はじめまして。
株式会社ALBERT(アルベルト)先進技術部の⼭内隆太郎といいます。今回はわたしのほうから○○さんの質問にお答えできればと思います。

○○さんのお⼿紙を読み終えたとき、最初に思ったのが「⾃分が返事を書いてよいのだろうか」ということでした。理由はふたつ。ひとつは、わたしの業務はいわゆる「データ分析」とは少し違うということ。もうひとつは、⾃分は⽬指してデータサイエンティストになったわけではないということです。ですから、データサイエンティスト志望の⼩学⽣に対して、なにか役に⽴つことを⾔えるだろうかと少し悩みました。

しかし考えてみれば、○○さんが⼤学を卒業して働きはじめるようになるのは早くて10年後なわけです(もちろん⾶び級するということも考えられますけれど)。わたしの記憶にある10年前の世界と現在の状況がまったく違っていることを思えば、おそらく10年後の状況もまったく違ったものになっているでしょう。そういう意味では、いまここで誰がどのような返答を書いたところで、10年後のデータサイエンティスト志望者に対する⾔葉としては、同じように的外れなものになるような気がします。それならば、あくまで現在のデータサイエンティストのひとつの実例として書く限りでは、⾃分が書いてもよいのかもしれない、そう思って筆を取った次第です。したがって、以下に書くことは 2021年現在における、ひとりの個⼈の考えです。それを念頭に置いたうえで、参考にしたりしなかったりして
もらえると幸いです。

そういうわけなので、ご質問に答える前に、まずは簡単に⾃⼰紹介させてください。わたしはいま28歳で、アルベルトで働きはじめて5年⽬になります。⼤学での専攻は哲学で、ウィトゲンシュタインという哲学者について研究(といっても⼤したものではないのですが)していました。哲学って⾔葉を聞いたことがあるでしょうか?⼀⾔で説明するのは難しいですが、そうですね、真理とか意味とかについて延々と考える、役に⽴たない学問の筆頭みたいなものです(半分冗談ですよ)。で、哲学専攻の学⽣がなぜいまデータサイエンスをやっているのかといえば、きっかけは些細なもので、学⽣時代に参加した読書会(みんなで集まって同じ本を読むという変なイベントです)で出会った アルベルトの社員に、「うちでアルバイトをしませんか」と誘われたのが始まりです。当時その⼈は「ディープラーニング」について多少なりとも知識のある⼈を探していて、わたしはその条件に合致したというわけでした。

ディープラーニングというのは、すでに名前を聞いたことはあるかと思いますが、多層ニューラルネットワークを利⽤した⼈⼯知能技術です。2010年代に急速に発展し、今では画像認識をはじめ⾃然⾔語処理やら⾃然科学やら多種多様な⽬的に応⽤されています。わたしがディープラーニングを知ったのはたしか 2014年のことで、興味本位で数学科の講義を受けていたときでした。その講義でディープラーニングの基本的な考え⽅を教わり、「これはたいへん⾯⽩い技術だ」と感動したわたしは、個⼈的に簡単な⼈⼯知能を作って遊ぶようになりました。それがアルベルトでのアルバイトに(読書会を介して)繋がったというわけです。縁というのは不思議なものだと思います。

そのころのアルベルトは社員数30⼈くらいの⼩さな会社で、ディープラーニングの専⾨家もほとんどいなかったので、何⼈かで⼿探りで最新の研究論⽂を読み、プログラムを書いて実験し、ということをやっていました。わたしもそこに投⼊され、論⽂を読んだり⼈⼯知能を実装したりするようになったのですが、これがなかなか⾯⽩い。毎⽇のように新しい論⽂が発表され、いままで出来なかったことができるようになっていく。しかもちょっとプログラムが書ければ⾃分でも試してみることができる。⼤学を出たあと何をして⽣きていくのかなんてまったく考えていなかったわたしですが(哲学なんぞをやってたくらいですからね)、案外こういうことを仕事にするのもいいんじゃないかと思うようになりました。そしていつの間にかアルベルトに就職し、気づけば4年以上経っていたというわけです。

そういう経緯で⼊社した⼈間なので、わたしの仕事はもっぱらディープラーニングに関わることでした。アルベルトには現在200⼈以上のデータサイエンティストが在籍しており、データ分析基盤の構築や収集したデータの統計解析などいくつものプロジェクトが進⾏していますが、そこで使われる技術や考え⽅はさまざまで、ディープラーニングはその⼀部にすぎません。また技術以外にも、どのようなお客さんを相⼿にするかとか、所属している部署などによっても、業務の在り⽅は変わってきます。とくにわたしは、最近ではお客さんのデータを解析する仕事から少し離れて、新しい⼈⼯知能アルゴリズムを作る仕事をしており(あまり順調ではないのですけど)、さらに少数派です。テーマは「三次元空間の意味と構造をどうやって⼈⼯知能に教えるか」というもので、膨⼤なデータの中から規則を⾒
つけたり予測をしたりというのがデータ分析の中⼼的内容だとするなら、ちょっと変わったことをしていることになります。この返事を書くのを少しためらったのはそういう理由からです。ですから、これから書く回答があまり⼀般的なものだと思われないように、回答者のバックグラウンドを開⽰しておくことにしました。もっと別の⼈の意⾒が聞きたい!ということであればアルベルトや他の会社にメールを出してみるとよいかもしれません。

将来を考える⼩学⽣からのメールということであれば、わりと返事が返ってくるのではないかと思います。返ってこなかったとすればそこはたぶんろくな会社ではないです。
たいへん前置きが⻑くなりましたが、ご質問に答えていきたいと思います。


① データサイエンティストで楽しいところは何ですか。
わたしはディープラーニングという考え⽅そのものがけっこう好きで、それに関わっていること⾃体が楽しいです。どこが好きかということを詳しく説明するのは難しいのですが、ざっくりと⾔うと、ディープラーニングについて知ることで⼈間の認知の仕組みについても知ることができる(気がする)ということでしょうか。わたしは⼦供のころから⼈間の知能や意識について関⼼があって、哲学を勉強したのもその延⻑でした。そういう意味では、昔から気になっていたことを紆余曲折経ながら今でも考えていることになります。⾃分の考えたいことを考えるというのは楽しいことです。これはまあ、あらゆる仕事に⾔える話でしょうが。

また実際に⼈⼯知能を作って学習させるのも楽しいです。ディープラーニングやデータ分析のためにはコンピュータをうまく利⽤する必要があります。⾼速なコンピュータを準備し、効率のよいプログラムを書かねばなりません。そこにはパズル的な⾯⽩さがあると思っています。綺麗なプログラムが書けると満⾜ですし、また、そうして苦労して実装した⼈⼯知能が想定通りに機能すると「してやったり」という気持ちになります。もちろんうまくいかない場合もあって、その場合は「なにくそ」となります。それはそれで楽しいです。

ところでアルベルトがなぜデータ分析や⼈⼯知能開発をやっているのかといえば、お客さんの抱える課題を解決し、それによって代価を得るためです。最近では少なくなりましたが、わたしもお客さんから要望を聞き、議論して、どのような⽅法で問題を解決できるか考えるという、コンサルティング的な仕事をすることがあります。課題を理解し、⼿持ちの技術でどうやって解決できるか整理し、具体的なアルゴリズムに落とし込む、これ⾃体なかなか楽しい仕事ですし、それによってお客さんが満⾜してくださったり、⾃分の作った⼈⼯知能が実際に世の中で使われるようなったりするのは、嬉しいことだと感じます。


② データサイエンティストで⼤変なところやつらいところは何ですか。
これはたぶんわたし以外のデータサイエンティストも同じではないかと思うのですが、作った⼈⼯知能やデータ分析システムが想定通りに機能しないと⼤変です。⼈⼯知能はプログラムを書けば出来上がるというものではなく、たくさんのデータで学習させて初めて動くようになるものです。ところが、どんなデータでもさばける万能な⼈⼯知能というものは存在せず(「汎⽤⼈⼯知能」と呼ばれる概念で、いまだに研究段階です)、解決したい課題やデータに合わせて⼀つ⼀つ設計してやる必要があります。しかも、実際に使い物になるかどうかは、作って動かしてみるまでは分かりません。⼈⼯知能開発やデータ分析にはそのような予測不可能性がつきもので、限られた期間の中でプロジェクトを遂⾏するとなるとかなりのプレッシャーがかかります。

またデータ分析業界は⾮常に移り変わりの速い領域です。数年前に登場した新⼿法がいまでは時代遅れで誰も使っていないなんてことがままあります。技術の進歩に遅れず付いていくためには、⽇々新しい技術や、あるいはそれらを理解するための基礎的な概念を勉強し続ける必要があります。すべてを理解することはとてもできないので、勉強する対象を選ぶ必要がありますが、⾃分の興味と社会的需要の間でバランスを取りながらやっていかねばなりません。とくにわたしの部署では研究開発をやっていますので、5年後を⾒据えてなにを勉強しなにを研究すべきか、いつも悩みながら働いています。


③ データサイエンティストはどんな⼈に向いていますか。
これはとても答えるのが難しいというか、責任を感じる質問です。ディープラーニングという狭い分野の中でさえ、ここ5年で求められる⼈物像は変わった感じがしますし、10年後どうなっているかは想像がつきません。なのであまり真に受けずに読んでください。まずデータサイエンスのいずれかの分野が好きであるということは重要だと思います。○○さんは「機械やAI、データ分析が好き」だと書かれていますから、その点では適性があるのではないでしょうか。ただ「好き」とひとことで⾔っても内実はいろいろで、個⼈的には「その対象に⻑時間関わっていても苦しくならない」という意味で好きであることが⼤切なのではないかと感じています。上で述べたように、データサイエンスを仕事にするということはデータサイエンスの進歩についていくということでもあり、そのためには継続的
に勉強を続けていかねばならないからです。たまに⾷べると美味しいお菓⼦であっても、毎⽇⾷べる主⾷にすることは出来ない場合があります。データサイエンティストに向いている⼈とは「データサイエンスを主⾷にできる⼈」なのではないか、というのがわたしの考えです。

それから、⾃分の考えを正確に他者に伝えられる⼈でしょうか。⼈⼯知能の研究開発にせよ、データ分析の成果をお客さんに納品するときにせよ、⾃分がどのように考えどのような⼿法を⽤いたか、そしてその結果はいかなるものであったか、その妥当性を他者に納得してもらわなければ、どれだけ優れた分析をしたところで意味がありません。いずれAI に置き換えられる⽇が来るのかもしれませんが、少なくとも現在の社会を動かしているのは⼈間なのです。データ分析の価値というのも、それがどれだけの⼈に理解され、意志決定に影響を及ぼしたかによって測られるべきでしょう。研究だって同じです。昔の偉い学者というものはだいたいみな⽂章が上⼿いのですが、そのことはきっと彼らの業績と無関係ではないでしょう。

どうも⼀般論的な回答になってしまいました。もう少し具体的な⼈物像を出せればと考えていたのですが、同僚たちの顔を思い浮かべてみても、共通する要素というのはあまり⾒当たりません。⼀定⽔準の学⼒があり、好奇⼼旺盛で、考えることが苦ではない。そのくらいでしょうか。

以上、わたしの狭く短い経験から、書けるだけのことを書いてみました。○○さんが将来のことを考えるうえで、ほんの少しでも参考になったならと思います。
それでは受験勉強(もうそろそろ本番でしょうか?)頑張ってください。お元気で。


株式会社ALBERT 先進技術部
⼭内 隆太郎
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いかがだったでしょうか。
データサイエンティストとはどんな仕事なのか、どのような人が向いているのかについて、そしてALBERTの雰囲気を少しでも知っていただく機会になれば幸いです。

ALBERTは日本屈指のデータサイエンスカンパニーとして、データサイエンティストの積極的な採用を行っています。また、データサイエンスやAIにまつわる講座の開催、AI、データ分析、研究開発の支援を実施しています。

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